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みんなのブログポータル JUGEM

聖書の緑風

『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』
神のことばである聖書に教えられたことや感じたことを綴っていきます。
聖書には緑陰を吹きぬける爽風のように、いのちと慰めと癒し、励ましと赦しと平安が満ち満ちているからです。
  • 2023.07.12 Wednesday -

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  • 2017.12.26 Tuesday - 17:21

サムエル記を愛して その12  

サムエル記第一・第十四章 ヨナタンの冒険

 

 サウル王の息子のヨナタンの名が出てくると、にわかに頬が緩みほほえみたくなります。愛すべきヨナタン、サウルの息子とは思えない美しきヨナタンはダビデ以上に安心して好意を寄せられる聖書中最高の人です。ヨナタンは決して読者を裏切りません。この十四章は五二節もあって長く大きな章です。ヨナタンは一節からさっそうと登場します。

 

 イスラエルとペリシテの両者が陣を敷き、いつなんどき戦いが起こるかもわからない緊張状態のさなかで、ヨナタンは若者一人だけを連れて敵の戦陣へ進んでいきます。ゲリラ戦術でしょう。ヨナタンは従者に『主がわれわれに味方してくださるであろう。少人数であっても、……、主がお救いになるのに妨げとなるものは何もない』6節、というのです。命知らず、無謀とも見えますが、神への一直線の信頼はまぶしいほどです。

 

 二人はそそり立つ絶壁をよじ登って敵の先陣の狭い場所で二十人ほどを打ち倒します。この騒ぎがペリシテ全軍に津波のように伝わり全軍が大きなパニックに陥ります。その状況を見たイスラエル軍は好機到来とばかりサウルを先頭にペリシテの陣地に切り込み、大勝利を納めます。ひさびさの勝利ですが、受動的な勝利ともいえます。勝利の発端は、勇敢なヨナタンと従者の若者二人が開いたのです。二人の手柄によるものです。聖書は『主はイスラエルを救い』23節と明記します。

 

 ところがここでまた奇妙なことが起こります。サウルは一日断食して戦えと命じたのです。俗に《腹が減ってはいくさはできぬ》といわれるほど、戦いには体力が要ります。十分な腹ごしらえは不可欠です。それを、よりによって断食を命ずるとは、サウルには胃袋がないのでしょうか。大勝利をしたのですから、リーダーたるものは気前よくごちそうを振舞って部下をねぎらうべきでしょう。

 

 民は空腹と疲労でへとへとです。勝ち戦も喜べません。とうとう我慢が出来なくなり分捕りものに飛びかかって手当たり次第に食べてしまいます。血の付いたままでもお構いなしです。その気持ちもわかります。ヨナタンは父サウル王の断食令を知らなかったものですから、森の中にしたたっているはちみつを杖の先ですくって口に入れます。ヨナタンの疲れが一変に解消したことは言うまでもありません。

 

 サウルは不機嫌です。血の付いたままで食べて主に罪を犯してはならないと、正式に屠って食べる指示を改めて出します。さらにすぐにでも戦闘を続けるつもりでしたが祭司にたしなめられて、祭司が神意を伺います。ところが神は沈黙されたのです。

 

 さあ、サウルはそれを民の中にある罪のせいにします。最終的に、罪は断食令に違反したヨナタンにありました。サウルは言います『おまえは必ず死ななければならない』44節。サウルは悲壮で大真面目でしょうが、なぜか共感できません。ちぐはぐな思いになります。これはどこから来るのでしょうか。サウルの政策?には統一性がないのです。今風に言うと、ぶれているのです。あるところはいやに律法的ですが、あるところは自己判断です。それが読者を混乱させ不安にさせ、彼への信頼を薄めてしまうのではないでしょうか。ヨナタンは冷静なる賢明なる民のとりなしによって一命を取り留めます。愚かな父によって、あたら命を落とすところでした。


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