- 2023.07.12 Wednesday -
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聖書の緑風『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』
神のことばである聖書に教えられたことや感じたことを綴っていきます。 聖書には緑陰を吹きぬける爽風のように、いのちと慰めと癒し、励ましと赦しと平安が満ち満ちているからです。
ミミとホホロの地球旅行 その3 おわり地球旅行 渦巻き 北風の起こしたが渦巻きが幹をゆすると、ミミは空高く舞いあがりました。ホホロもスピードを出しておいかけます。北風は南へ南へ向かっています。 「海だよ。地球は海でかこまれてるんだ」 「あの細いみずのながれはなあに」 「川っていうんだ。人間たちはあの水をのんでいる」 「あそこの茶色の海みたいなところは?」 「さばくだよ。草も木も水もないのさ」 「まあ、こわいところもあるのね」 見えたぞ 見えたぞ 青い海 川のながれとすなの原 空とぶ旅はたのしいな 地球旅行はうれしいな 「北風さん、もっと下のほうにいきたいわ」 ミミはうれしくてたまりません。 「だめだよ。地球の引力に負けたら、ついらくだよ」 「ミミ、わがままはやめろ。生きてかえれなくなる」 ホホロはずっとハラハラしています。 「だって、せっかくきたんだもの」 ミミとホホロのゆくへ 北風が大声で叫びました。 「たいへんだ、南風だ。吹きもどされてしまう。ああーーーーもうーーーだめだーーーー」 「北風の声が遠くなり、ミミとホホロは南風のうづのなかに吸いこまれてしまいました。 「あなたたち、どうしてこんなところまできたのです。ここでは生きていけませんよ」 「助けてください。北風さんのところへいかせてください」 ホホロはありったけの声で叫びました。からだから力がすーすーとぬけていきました。 ミミが苦しそうに身をよじっています。 「ミミ、しっかり。ぼくにつかまってごらん。少しは助けになるよ」 「いいえ、あなたこそ苦しそう」 南風が気の毒そうにはいいました。 「すまないけど、わたしにはどうしてあげることもできません」 「ホホロ、ごめんなさい、わたしが悪かった…。 「ううん、ぼくがもっとしっかりしていればよかったんだ。悪いのはぼくなんだ」 「ここで死んでしまったら、天国へは行かれない。永遠のいのちはいただけないでしょうね」 「そうだね。ぼくたち、わるいことをしたんだから… 神さま、どうかおゆるしください、神さま」 「悪いのはわたしです。ホホロには永遠のいのちをあたえてください」 「神さま、ミミこそ、助けてあげてください」 「ああ、苦しい…神さま、ごめんなさい」 「もうだめだ、あつい、あつい」 南風はもうそれっきりミミとホホロの声をきけませんでした。 それから… さびしい荒野をご夫婦が旅をしていました。砂と石ころばかりがつづいていました。持ってきた水もすっかりなくなり、このままではご夫婦もロバも倒れてしまいそうです。 いいえ、それだけでなく、奥さんの胸にねむる赤ちゃんにもきけんがせまっていました。 「おやっ、水の音がきこえる」 ご主人はロバをとめると、小さな岩のうしろをのぞきこみました。 「マリヤ、こんなところに泉があるよ。なんてふしぎだろう」 「きっと神さまのおめぐみです。早くイエスにものませましょう」 泉の水は雪をとかしたように、それはそれはつめたくておいしい水でした。 「あら、こんなところに赤い葉があるわ。美しいこと」 マリヤは泉のすみにうかんでいる一枚の葉をそっとひろいあげました。 「イエス、みてごらんなさい」 マリヤはしずかにねむる赤ちゃんの胸にそっと葉をかざりました。 「まあ、この子には赤がよくにあうこと。木の葉も神さまからのおくりものにちがいありませんわ」 泉はホホロで、赤ちゃんの胸をかざる赤い葉っぱがミミだってこと、おわかりですね。 あわれみふかい神さまは、ミミとホホロを天国に連れていく前に、とってもとうといしごとをさせてくださったのです。 これもとっくにおわかりでしょうが、このご夫婦はヨセフとマリヤ、赤ちゃんは救い主イエスさまです。二人はおそろしいヘロデ王からイエスさまを守るために、エジプトへ向かっているところでした。 そして今… ポインセチアは樅の木といっしょにクリスマスには欠かせない植物になりました。今では気温や日の当たる時間によって次々と赤い葉が生まれるようになりました。 ミミとホホロのお話しはとおいとおい昔のことなのです。 (おわり)
Category : 創作童話
ミミとホホロの地球旅行 その2ミミの喜び 「おまちどうさま。こんどはきみのばんだよ」 北風の中からホホロの声がきこえてきました。いよいよ待っていた時がやってきたのです。ミミはぶるっとふるえました。うれしい気持とこわい気持がまじりあってこみ上げてきます。 ホホロはミミの上に飛びのると、白いぼうしをさっとぬぎ、白いブーツのひざを少しまげておどけておじぎをしました。それから、銀のふえをクルクルと指のあいだでまわしてからにこっとほほえみ、口もとにあてて大きく息を吸いこみました。 銀のふえから雪の国のメロディーが流れてきました。 ――神さま、わたしを美しい色にしてください。だれよりもきれいな赤にそめてくださいーー 目をとじてお祈りをしていると、心の中がぽかぽかとしてきて、幸せな気持がいっぱいに広がっていきました。 「そーら、すっかり赤になったよ。見てごらん」 ミミはそーっと目をあけると、まあ、ほんとうに、ミミはすっかり赤に染まっていました。 「ありがとう ホホロ。うれしいわ。わたしの色ってすてきかしら」 「ああ、とってもきれいだよ。北風が吹くたびにもっとすてきになっていくよ。じゃ、またね」 ホホロは銀のふえを吹きながら空たかく舞いあがりました。 ミミは自分の姿をなんどもなんどもながめました。うれしい気持がますますふくらんでワクワクしてくるのでした。 ミミのねがい 北風がいっそうつめたく、いっそうはげしく吹きつけるようになりました。ポインセチアの木にぶつかるたびに、ミミに声をかけてくれます。 「やあ、ますます美しくなったね。まぶしいほどすてきだよ」 「ありがとう。北風さんはいそがしそうね」 「そうさ。なにしろ地球の北半分に冬をしらせるんだから」 まっさきに、森のおくの湖から白鳥たちが南に向かって飛んでいきました。 「ミミ、すてきだよ。森でいちばんきれいだよ。春までげんきでね」 ツグミの群れもいきおいよくつばさを広げてミミの上をこえていきます。 「まあ、ミミ、美しくなったわね。しばらくのお別れよ」 ミミは自分の上を飛んでいく雪の子や北風や、白鳥やツグミを見ているうちに、自分も空を飛んでみたくなってきました。 「ホホロはいいな、空を飛べて。北風はいいな、遠くへ行けて。白鳥はいいな、おおきなつばさがあって。ツグミはいいな、知らない国へ行けて」 ミミはだんだんじっとしているのがたいくつになってきました。 「おおさむい。こごえ死んでしまいそう。早くでかけましょう」 最後のツグミはそういいのこすと、銀色の空へ消えていきました。 「つばさ、つばさ、みんなつばさがあっていいな」 ミミはますます空を飛びたいと思いました。 ミミのけっしん 空を飛びたい、空を飛びたいと、ミミはずっとずっと考えつづけていました。 そこへしばらくぶりでホホロがやってきました。 「ああ、いそがしかった。少しやすませてよ」 「ホホロ、私の話聞いてくれるかしら。わたし、空を飛んでみたいの。知らない国へ行ってみたい。北風さんにお願いしてみようと思ってるの」 ホホロはびっくりしてふえを落しそうになりました。 「な、なんだって。きみはとんでもないことを考えるんだね。いいかい、幹からはなれたらじきに死んでしまうんだよ」 「わかってるわ。でも、このままじっとしてはいられないのよ」 「でも、だめ、だめ。それはむちゃというものだよ」 そこへ、北風が通りかかりました。 「北風さん、わたしをとおい国へ連れていって」 「ミミの言うことをきかないでください。とめてください」 「おい、おい、きみたち、けんかしてるのかい」 「いいえ、ホホロが反対するんです」 「うーん。ミミの気持もわかるなあ」 「北風さん、そんなこと言ったら困ります。ミミは幹からはなれたら死んでしまうのですよ」 「そうだ、そのとおりだ。それにわしだって南風の近くへ行くことはできない」 ミミはあきらめません。 「北風さんの行けるところまででいいわ」 「そんなに行きたいのなら、よし、連れていこう」 ホホロは心臓がドキドキしました。 「まって。ミミ一人ではしんぱいだ。よし、ぼくも行く」 「おい、おい、ホホロ。きみは雪の子だよ。ミミより先にとけちゃうよ」 「ああ、そうだった。こまった。それに神さまからいただいたしごとも残っているんだ。でも、ミミがしんぱいだ」 ミミはホホロの苦しみがわかりません。心はすでに大空を飛んでいるのです。 「北風さん、早く行きましょう」 その時でした。幹の下のほうからお年寄りの葉が太いこえでいいました。 「北風よ、無責任なことをするな。神さまのお決めになったことにそむくと、とんでもないことになるぞ」 「ごもっとも。でも、若いときはぼうけんしたいものさ」 「北風さん、はやく」 「よし、ぼくも行く」
Category : 創作童話
ミミとホホロの地球旅行 その1
森の上の空が銀色にかわりました。北風にのった雪の子たちが、銀色のふえを吹きながらいっせいに舞いおりてきたのです。すると、森じゅうの木や小鳥や動物たちがくちぐちに歌いだし、冬のしたくをはじめました。 見えたぞ 見えたぞ 銀のふえ 聞いたぞ 聞いたぞ 銀のふえ 冬がくるぞ 冬になるぞ そうです、これから地球の北半分が冬になるのです。 雪の子たちはまっ白な三角ぼうしをななめにかぶり、まっ白なマントをつばさのようにひろげ、まっ白なブーツをピチッとはいて、銀のふえを吹きつづけます。 見えたぞ 見えたぞ 三角ぼうし 白いマントに白ブーツ 冬がくるぞ 冬になるぞ 森の生き物たちは大いそぎで冬のしたくをするのです。もうすぐ地球の北半分が冬になるからです。 生まれたばかりの雪の子ホホロは、ポインセチアの葉を赤くそめるために、葉から葉へいそがしく飛びうつっていきます。神さまからいただいたたいせつなしごとなのです。みどりの葉たちは赤い体になる日を今か今かと待っているのですから。 えっ、ポインセチアは南国の木なのにどうして北国にあるかですって。 それは… ずっとむかし、北風と南風がまだきちんと通り道を決めていなかったころのこと。ぼうけん好きな若い北風が地球のまん中まで行ったことがありました。南風とすっかりなかよしになり、スピードきょうそうをして遊んでいるうちに、ポインセチアのひと枝だをまきこんだまま帰ってきたのです。 北風は、森のはずれのよく陽の当たるところをえらんで枝をおろしました。枯れてしまわないようにお祈りしました。 しばらくすると根がついて、なんども冬を乗りこえて、いまではしっかりした大きな木になりました。 葉っぱのミミ ミミは春に生まれたばかりのポインセチアの葉っぱです。北国の森はもみやまつの木が多いので、やわらかくてかたちのいいミミはすっかり人気者になりました。春が過ぎて夏になると、淡いみどりが深い色になって、ミミはますます美しくなりました。 まわりの木がほめてくれました。 「きれいだね、ミミ」 「かわいいよ、ミミ」 こんな声も聞こえました。 「冬になるともっときれいになるよ。みどりが赤にかわるんだよ」 ミミはびっくりしました。 「赤ですって。わたしが」 「そうさ。雪の子がそうしてくれるのさ」 「雪の子?」 「ああ、そうだよ。まっておいで」 ミミはうれしくなりました。冬が待ち遠しくてたまりません。 ついに北風が吹きつけるようになりました。厳しい寒さにミミは身をすくめました。体がちぢんでいくようです。 「ほうら、雪の子が降りてきたぞ」 「雪の子だ、雪の子がやってきた」 ホホロはミミのいるポインセチアに飛びおりてきました。一枚の葉の上で、銀のふえを吹きながら、白いブーツのつま先でクルリ、クルクルと踊りだすと、どうでしょう、みどりの葉がみるみる赤くなっていくのです。 「わっ すてき。あなたが雪の子ね。わたしはミミよ。早くわたしのところに来て」 「ぼくは雪の子ホホロ。きみはもう少しあとだよ」 ホホロはあちらの葉っぱ、こちらの葉っぱと、次々に飛び回っています。 「おねがい。つぎはわたしよ。ホホロ、早く」 すると、下のほうからお年寄りの葉がふとい声でいいました。 「そんなに急ぐことはないよ。みどりは若さのしるしさ。わたしはあんたのころがなつかしいよ」 ――みどりは子どもの色だわ。 わたしは早く大人になりたいのーー ミミは赤のほうがずっとおしゃれだと思うのでした。(つづく)
Category : 創作童話
ちこくチルル その3さあ、馬小屋へ
チルルはなんどもなんどもお祈りをしながら飛んでいきました。
「おじいちゃん、夢みたいだね。ププ、ぼくたち空を飛んでるんだよ」 「わしらは世界一の幸せものだ。天使のせなかに乗って救いぬしに会いに行けるなんて。チルルくん、ありがとう。神さまにたくさんごほうびをいただいておくれ」 ププものどを鳴らしからだをゆすっていました。
そうです、はるか下に、丘をかけおりていく羊飼いたちがみえるではありませんか。そのすぐ上を、ガブリエルの群れが低空飛行で道あんないをしています。 「お先にしつれいしまーす」 「わっ、ぼくたちのほうが先だよ。すごい、すごいや」 マルコは大ごえでさけび、足をバタバタさせています。 チルルはうれしさでいっぱいになりました。 「今日こそ、ちこくじゃないんだ。いちばんだぞ」
「ぼく、みんなをむかえに行ってくるよ」 「お先に行ってまーす」 マルコはププを抱いて走っていきました。 「おーい、わしも行くぞ!」 ヤコブじいさんはポンと杖を投げすてました。 ちょっと待ってください。 二人とも足が不自由で歩けなかったのではないですか。 イエスさまがお生まれになったそのとき、神さまの大きな力は二人の足を強くしたのでした。 とつぜん、たつまきのようなはげしい風がふいてきて、チルルは天に巻き上げられてしまいました。風にまかれて、チルルの羽はまっぷたつにおれてしまいました。チルルは小さな雲のかたまりになって、星の光もとどかない空のかなたへ消えていきました。 ちょうど、世界ではじめてのクリスマスが始まったときでした。
三十三年がすぎました。イエスさまは世界の人々を救うために、身代わりとなって十字架にかかって死んでしまいました。三日のあいだお墓の中にいましたが、よみがえられたのです。 このビッグニュースを伝えるのもガブリエルの天使たちの仕事でした。 イエスさまのお墓のそばに一人の美しい天使が立っていました。お弟子さんたちがイエスさまのお体をさがしているとき、天使はにこやかに告げました。 「ここにはおられません。よみがえられたのです」
そうです、イエスさまがよみがえった朝、チルルもよみがえったのです。チルルは神さまからだれよりも強くスピードの出る羽をいただきました。 もしかしら、今日、あなたのところへすてきな〈神さまのおつげ〉をはこんでくるかもしれませんよ。
Category : 創作童話
ちこくチルル その2ベツレヘムの野原
やっぱりチルルはちこくしてしまいました。ベツレヘムの郊外についたとき、みんなはすでにイエスさまのお生まれになった馬小屋へいってしまったあとでした。 野原にはつめたい風がふいているばかりでした。チルルはくるしい胸をさすって、羽をたたみました。 「こんどだけはちこくしたくなかったの」 神さまのお役にたてないのが悲しくてたまりませんでした。暗い夜空をみあげると胸があつくなって、糸のような涙が流れてきました。 そうだ、早く追いかけよう。まだまにあうかもしれない。 チルルが大きく息をすって羽を広げようとしたとき、 「おじいちゃん、いこうよ。ぼくだってイエスさまにあいたいようー」という声がするではありませんか。羊飼いの少年マルコでした。きのう生まれたばかりの子羊ププを抱きしめています。チルルはそばへ駆けよりました。 「きみ、だあれ」マルコはびっくりしてチルルを見つめました。星のひかりの中で、チルルの羽が銀色に光っています。 「ぼく、天使のチルル。きみはマルコ君でしょう」 「すごいや、ぼくのなまえ、しってるなんて」 チルルはすこし得意になりました。 「ええ、天使ですからね。君にすばらしいことを教えてあげますよ。〈今夜、ベツレヘムの町に救いぬしがお生まれになりました〉それを知らせにきたのです」 チルルははじめて、神さまのおつげをすることができたのでうれしくてたまりません。 「そのことなら知ってるよ。さっき、たくさんの天使たちが知らせにきたばかりだよ」 「僕のなかまたちです」 「きみ、おそいじゃないか、ちこくだね」 「そ、それを言わないで…」 チルルは恥ずかしくなりました。 「ぼく、いつもいちばんあとから行くの。きみこそ、なにしてるの。早くお祝いに行かなきゃ」 「きみ、馬小屋がどこにあるか、知ってるの」 「ほくは天使ですよ。神さまからちゃんと教えていただきました」 「じゃ、つれて行ってよ」 「いいですとも」 その時でした。二人の話をじっときいていたヤコブじいさんが、杖でトントンと地面をたたきました。 「お待ち、マルコ。どうしてわからないのだ。おまえは行けないんだよ」 「………」マルコはだまってうつむいてしまいました。 「えっ、どうしてなの」チルルはびっくりしました。 「あんたは天使だから空を飛ぶことができる。ベツレヘムへなんか、ひとっ飛びだろうが…。わしだって若いときは走って行けたものだ。だが、マルコは、マルコは、歩くことができない…」
「わしだって、どんなにお会いしたいことか。だが、年を取りすぎた。杖をついても歩けやしない」 「いやだよ、行きたいよー」 「むりを言うんじゃないよ、みんなが帰ってきたらたくさん話してくれるよ」 急にマルコがチルルの羽を強く引っぱりました。 「チルル君、おねがい。ぼくたちを乗せていってよ」 「えっ、乗せるって」 チルルの胸がドキンとしました。 「せなかに乗せて飛んでよ」 マルコはますますつよく羽を引っぱるではありませんか。 「ちょっ、ちょっと待って」 チルルの耳にガブリエルの声がきこえてきました。 ―私たちのしごとは、神さまのおつげを人に伝えることだけだ。ほかのことをしたら、羽がおれて宇宙のそこへついらくするのだー
「きみ、天使だろう、乗せてよ」 マルコは泣いています。チルルはマルコがかわいそうになりました。足の弱いマルコが自分のように思われました。 つめたい風がさあーっとふきすぎていきました。星たちのまばたきがはげしくなりました。子羊のププがのどを鳴らしています。ヤコブじいさんはなんども杖で地面をたたいています。みんな、みんなチルルの返事を待っているようでした。
チルルの声は野原中にひびきわたりました。マルコの前にひざをついて羽をひろげ、せなかをさしだしました。 「ほんとっ、乗ってもいいの」 「よかったのう。ほんとうはおまえにイエスさまをみせてあげたかったのだ。神さまはわしのいのりをきいてくださった。おまえのねがいもかなえてくださった。チルル君は神さまがわしらにおつかわしくださった天使だよ」 チルルはもうなにも言えませんでした。三人、いや、二人と一匹を乗せると、胸いっぱいに息をすいこみ、肩にありったけの力をこめて飛びたちました。
Category : 創作童話
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