- 2023.07.12 Wednesday -
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聖書の緑風『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』
神のことばである聖書に教えられたことや感じたことを綴っていきます。 聖書には緑陰を吹きぬける爽風のように、いのちと慰めと癒し、励ましと赦しと平安が満ち満ちているからです。
母さんの机 その1泣きすぎるって叱られるけど、リーラはすぐにしゃくり上げてしまうのです。それからしばらく泣きやみません。どうしても止められないのです。 「たんと泣かせておやり。わたしもいっしょに泣けるから」 「それでも、リーラは泣きすぎよ」 「リーラは母さんっ子だから、しかたがないよ」 「ごめ…ん…な、さ、い……」 リーラは部屋の隅に押しつけてある母さんの机に走っていくと、うつ伏してまたひとしきり泣き続けるのです。そうしていると気持ちがおさまって、母さんが見え、声が聞こえてきます。母さんはいつだってとっても元気でした。 「リーラ、父さんがもう帰ってくるわ。足洗いにお水をたっぷりいれておいて」 「はい、母さん」 父さんはガリラヤ湖の漁師です。ゼベダイさんの舟に乗っているのです。 「リーラ、やぎの皮袋を揺すってきて。そろそろおいしい凝乳ができるころよ」 「はーい、母さん」 「リーラ、ばあちゃんにお茶が入りましたよって、声をかけてきて」 ばあちゃんは裏の小屋で羊の毛を紡いでいます。 「姉さんと兄ちゃんもじきに戻るでしょう。みんなそろったら、夕ご飯よ」 二人はシモンおじさんの家で羊飼いをしています。 母さんはいつも元気でくるくると家族のために働いていました。 その年、いつもよりずっと長かった雨期が終わろうとしているころ、村に熱病がはやり出しました。恐ろしいマルタ熱です。何日も高い熱が続いてそのまま死んでしまいます。病人に近づくとうつるので村はずれの洞穴に運び、家族だけがときどき様子を見に行くのです。それが村のきびしいきまりでした。 「様子を見てくるわ」
「ララちゃん、直るかしら。母さん直してあげられるかしら」 リーラは心配でたまりません。父さんもおばあちゃんも、姉さんも兄ちゃんも黙りこんでいます。父さんは何度も大きなため息をしました。 その夜、母さんは帰ってきませんでした。(つづく)
Category : 創作童話
ププとピピとポポの冒険 その2*ブブの病気 「おやっ、ブブの手、ひどく熱いね。どうした?」 ピピはぎゅっとブブの手をにぎりなおしました。 「ちょっと、つ、か、れ、たー。むねが、く、る、し、いーー」 ピピはうでを回してブブを抱きかかえました。 「ブブ兄ちゃん、しっかりして!」 「ブブ、しっかりするんだ。何がほしい?」 「兄ちゃん、ぼく、なんでもするよ」 「のど、が、かわく、お、み、ず、が、ほーーしーーいーー」 ブブは苦しそうな息をしながらうつらうつらしています。 「ピピ兄ちゃん、どうしよう」ポポが小さな声で言いました。 「うん…。いま、考えていることがあるんだ……」 ピピはブブから少し離れて、ポポをかかえました。 「兄ちゃんのお水をあげるの?どうやって?」 「うん。からだをしっかりブブにくっつけて、ずっとそのままでいると、ぼくのお水がブブの方に流れ出すんだ」 「そうだね…、ブブを助けるためにはそれしかないんだ」 「今度は兄ちゃんが病気になるよ」 「……」 「ぼくのお水もあげる!」 ピピは涙声で叫びました。
「兄さんはどこだろう、ポポはどこ?」
「ブブ、りっぱになったね。よかった。ぼくはブブの中にいるよ」 「ブブ兄ちゃん、たくさんの実がなったね。ぼくもブブの中にいるよ」 「ああ、そうだったのか。ぼくを助けるために自分のいのちを捨ててくれたんだね……」
「神さまのお役に立ちたい。弱かったぼくが元気になって、こんなにたくさんの麦を成らせたんだ。この麦をすばらしいことに使いたいなあ」 イエスさまとお弟子さんたちでした。 「お腹がすきましたね。麦畑が見えますよ。穂を摘んでもいいですか」 「ああ、いいとも。道のすぐそばにあるのは自由に食べてもいいんだよ。どれ、私も食べることにしよう v」イエス様が言いました。 神さまのお役に立てるぞ。イエス様、ぼくを食べてくださいね。 ブブは思いっきりからだを道の方に伸ばしました。 おわり
Category : 創作童話
ピピとププとポポの冒険 その1
*袋の中で 日の光をたっぷりふくんだあたたかい風が吹いています。たねまきにはちょうどよい具合です。 お百姓さんは肩からさげた大きな袋に大きな手を突っこむと、麦のたねをしっかりつかみだし、風に乗せるように、力いっぱいまき散らしました。 風が強いと、たねは鳥のように遠くに飛んでいきます。弱い風の時は、お百姓さんの足元に重なって落ちていきます。 袋の中ではたねたちが、どんなところに落ちるのかドキドキしながら待っているのです。話し声が聞こえてきましたよ。 いちばん上のピピは真剣です。いつお百姓さんの大きな手につかみ出されるかわかりません。 「こわいなあ、しんぱいだなあ」末っ子のポポは泣きそうです。 ところが、真ん中のブブは明るい声で言うのです。 「僕はわくわくしてるんだ。早く外へ出たいなあ」 「ブブ、きみは体が丈夫じゃないってこと、忘れちゃいけないよ」 「そうだよ、ブブ兄ちゃん。むりはいけないよ」 「ありがとう。でも、僕は神さまがすばらしいことをしてくださるって信じてるんだ。早く芽を出し、大きくなりたいなあ」 「ブブ、ポポ、兄ちゃんの手にしっかりつかまるんだ!」 「こわいよー」ピピは悲鳴をあげました。 「ポポ、僕もつい…てる…か…ら……ね…」 ブブの声がとぎれてきました。病気が出たのかもしれません。 *土の中へ お百姓さんはたねをつかんだ手を高く高くあげると、畑の真ん中に向かってまき散らしました。よいところに落ちそうです。 突然、強い風が吹いてきました。 「ピピ兄ちゃんー助けてー」 「く…る…し…い……」 ふんわりと土の上に落ちたとき、ピピはまだ両手に弟たちの手をしっかりにぎっていました。 「ブブ、まだ、くるしいかい?」 「ふーっ、ここは…気持ちがいい…。やわらかくて…あたたくて…」 ブブの息切れはおさまったようです。
ピピとブブとポポのまわりにもたくさんのたねたちがいます。みんな、青い空とすずしい風と日の光にあたっておおよろこびです。
「ぼくたちはいつまでもこうしてはいられないんだよ。袋の中よりモットくらい土の中に入るんだ。芽を出し、実がなるためには痛いことも苦しいこともあるんだ」 みんなの顔がいっせいにくもりました。 「それに、言っとくけど、早く土の中に入らないと、鳥に食べられたり、ひからびて死んでしまうぞ」 みんなは泣き出しそうです。 「さあ、みんな、もぐるんだ、できるだけ深くはいるんだ」 そのとき、ピピとブブとポポは大きなたねたちに突き飛ばされました。 「じやまだな、こんなところにいるなよ」 「ここがいちばんいい場所だ。あっちへ行け。どいた、どいた」 三兄弟はどんどん押されて、とうとう道のすぐそばにきてしまいました。 「ひどいことするなあ、同じなかまなのに」 ピピは怒っています。 「こんなところじゃ、鳥に食べられちゃうよ」 ポポはぶるぶるふるえています。 「はやくもぐったほうがいいよ。がんばろう」 ブブのかけ声で、いっせいにもぐり始めました。力がいります。足にも手にもお腹にも力をためて息をいっぱい吸い込んで、からだを沈めていくのです。 それでも力いっぱいがんばったので、光のとどかない場所まで進みました。 「この辺にしよう。一休みしたら、こんどは土の中にある水を飲むんだ。これがないと生きていけない。でも一度に飲み過ぎると体が壊れてしまう。ゆっくり、少しづつ飲むんだよ」ピピが両側のブブとポポにささやきました。(つづく)
Category : 創作童話
秋たけなわの日に小さなブログを忘れないで覗いてくださる皆々様。 気が付いたら、大分ブランクの日が続いてしまいました。日常の渦に巻かれ、同じ所を行ったり来たりぐるぐる周りをして、時の足を見忘れていたのです。 時は自分の使命に忠実です、神様のご計画の通りに、確実に前進また前進、人の人生を、歴史を、牽引していきます。きっと、人には見えないゴールの明るい旗がくっきりと見えているのでしょう。だからたゆむことなく進めるのでしょう。これからはさらに時を意識し、時の優しくて逞しい手に引かれて、効率のよい、しかも味わい深い、一日、一日を生き抜きたいと願います。 しばらく『聖書と女性・女性の賢さを探して』のシリーズを連載してきました。まだまだあるのですが、2000年以前はフロッピーに保存してあり、今や復活のすべがありません。あるかもしれませんが、真剣に取り組んでいません。そんなわけでいったん休みます。 2007年の暮れに出版した童話の一冊があります。10篇ほどの聖書創作童話を収めてあります。今後はしばらくそれを読んでいただけたらと思います。 続いてのご来訪を祈りつつ。 聖書の緑風より
Category : ごあいさつ
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