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みんなのブログポータル JUGEM

聖書の緑風

『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』
神のことばである聖書に教えられたことや感じたことを綴っていきます。
聖書には緑陰を吹きぬける爽風のように、いのちと慰めと癒し、励ましと赦しと平安が満ち満ちているからです。
  • 2018.09.24 Monday - 14:58

サムエル記を愛して その23

サムエル記第一・第二五章 逃亡するダビデ、カルメルでのアビガイルとの出会い

 

『サムエルが死んだとき』で始まるこの章はイスラエルの悲しみの極みを示しながらも、新しい風が吹き込んでいるのを感じさせます。逃避行を続けるダビデへの神の慰めの風です。サムエルの葬儀にはダビデも列席しました。『イスラエル人はみな集まって』1節、とありますからサウルも出かけたでしょう。しかし、和解はなかったようです。

 

 ダビデはさらに南のパランの荒野に身を隠します。この章はサウルとの行き詰るような対決はありません。それどころかサムエル記で最大の見せ場ともいえる出来事が展開します。一人の女性の活躍物語です。

 

『パオンにひとりの人がいた。彼はカルメルで事業をしており非常に裕福であった。そのころ彼は羊の毛の刈り取りの祝いをしていた。名はナバルといい、彼の妻の名はアビガイルといった。この女は聡明で美人であったが、夫は頑迷で行状が悪かった』2、3節。

 

 ここにサムエル記の特徴ある記述スタイルがまた姿を現します。『むかし、むかしあるところに――』式です。興味津々です。ナバルとアビガイル夫婦、ダビデがどんな事件に絡まっていくのでしょう。

 

 ナバルが羊の毛の刈り取りの祝いを開きます。この人は羊三千頭を持っていましたから、収穫量は莫大です。収穫感謝の宴も豪華であったでしょう。近隣の富豪や名士を招待して自分の富を誇り賞賛と権力を得るためでしょう。それを聞きつけたダビデは若者十人を遣わして、祝いを述べ、さらに祝宴の分け前に与りたいと申し出ます。これは当時の習慣だったのでしょう。ダビデが賤しい無心をしたわけではないのです。その際ダビデは、常日頃自分たちはナバルの羊飼いたちと同じ地域にいて、事あるごとに羊飼いたちを守り助け、親切にした。だから『手もとにある物を与えてください』8節、と言わせます。

 

 ふつうならすんなりと進むことなのです。ところが相手が悪すぎた、ナバルは『頑迷で行状が悪かった』のです。ナバルは口汚くダビデの若者たちを罵り、野良犬のように追っぱらってしまいます。

 

 さあ、それを聞いたダビデの血が沸騰してしまいました。キレてしまったのです。ダビデはすぐに『めいめい自分の剣を身につけよ』13節、と命じ、自分も先頭に立ってナバルのもとに襲撃を掛けようとします。報復です。

 ナバルの方では、若者の一人が事の次第を妻のアビガイルに伝えます。主人はせっかくダビデが祝辞を言付けてきたのに彼らをののしって帰した。このままでは済まない、彼らは報復する、災いが降りかかってくることははっきりしています。『あなたはどうすればよいかわきまえてください』17節。若者はナバルを信用せず、アビガイルに訴えたのです。

 

『聡明で美人』のアビガイルはとっさにすべてを悟り、何をしたらいいのか判断します。

『そこでアビガイルは急いそいでパン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、料理した羊五頭、炒り麦五セア、干しぶどう百ふさ、干しいちじく二百個を取って、ろばに載せ』18節、若者の後をついて自ら出かけます。

 

 途中で、手に手に剣を振りかざしたダビデ一行と出会います。アビガイルはダビデの前にひれ伏して夫の非礼をわび、命がけの嘆願をします。『どうか、あのよこしまな者、ナバルのことなど気にかけないでください。あの人はその名のとおりの愚か者です』25節、さらにアビガイルは『主がご主人さまをしあわせにされたなら、このはしためを思い出してください』31節とまでいいます。アビガイルの訴えは24節から31節まで延々と続きます。ここには愚かな夫を承知で仕える妻の悲しさがにじみ出ています。また『私を思い出してください』と、女性ならではの情に訴える説得があり、アビガイルの聡明さが全開しているのを感じます。

 

 ダビデは『もしあなたが急いそいで私に会いに来なかったなら、確かに、明け方までにナバルには小わっぱひとりも残らなかったであろう』34節、と言い残し、多量の贈り物を受け取って殺意に弾む息を鎮めて自分を制し、引き上げていきます。

 

 アビガイルはおそらく聖書中では最高に成熟した大人の女性ではないでしょうか。正確に状況を見る目、的確な判断力、すばやい行動力、人の情に触れて動かす説得力などすべてを身に着けた熟女です。『聡明で美人』とは言い得た評価ではないでしょうか。

 

 この件は夫ナバルに内緒でした。アビガイルは夫の性質を知り抜いていたのです。一見夫を欺いたように見えます。翌日、祝宴の酔いがさめたところで一部始終を話したところ、ナバルは驚きのあまりひとことも言わないうちに意識不明になり、十日後に死んでしまいます。神のさばきといって差し支えないでしょう。

 

 しばらくしてダビデはアビガイルに結婚を申し込み、アビガイルも一切のしがらみから解放されてダビデの妻になります。ダビデが試練の荒野で見つけた香り高い花です。


  • 2018.09.24 Monday -

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