サムエル記第一・第二二章 逃亡するダビデ、アドラムの洞穴
アヒメレクのところでドエグを見たダビデはサウルを恐れてペリシテのガテの王アキシュの所に行きますが、ダビデだと見破られると狂人を装って逃げ、再びイスラエル領内の荒野にあるアドラムの洞穴に隠れます。狂人のふりまでして逃げるダビデには戸惑いを感じますが、こんなところでむざむざ死ねるものかと思うダビデの心中も察しが出来ます。単に命が惜しいのではなく、主に油注がれた者としての強い使命感、責任感、誇りがそうさせているのだと、よい方に解釈してしまいます。
洞穴にいるダビデのもとには一族をはじめ、弱者や不満分子が続々と集まってきて、四百人もの一大集団に膨れ上がっていきます。ダビデは両親だけはモアブの王に託します。
一方サウルはギブアでダビデの居所を知ります。サウルは家来たちに向かってくどくどしく自己アピールをし、ダビデの価値を下げようとします。その愚痴をノブの祭司アヒメレクの所に居合わせたドエグが聞き、アヒメレクがダビデを助けたことを告げます。
さあ、サウルの怒りはアヒメレクに集中しました。
早速、アヒメレク一族はサウルの前に呼び出され、詰問された上、皆殺しにされようとします。しかしサウルの家来たちもさすがに神の祭司たちに手出しをしません。
ところが狂ったサウルはエドム人ドエグに命じ、エポデを付けていた八五人の祭司たちを虐殺するのです。さらに、祭司の町ノブを襲撃し、家畜に至るまで殺戮します。これは神への大いなる反逆です。サウルは一片の信仰心も失くしてしまったのです。